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概要

語りびと

30  似島被爆者救援記 古ふる 田た  輝てる 吾ご 被爆時の年齢・・・・ 十七才 被爆地・・・安芸郡江田島町最終勤務校・・・市立小河内小学校  原爆が投下されたとき、陸軍船舶特別幹部候補生として、江田島の幸之浦にあった第四十四戦隊に所属していた。(当時十七歳) 昭和二〇年八月六日の朝は静かで青い海と澄んだ空、今日も暑そうだ。 兵舎の入り口付近で休んでいた。とそのとき突然真っ赤な熱い光が襲った。 なんだ! と叫びながら海岸に出てみた。 広島の上空に大きな黒い煙が見えた。 「ガスタンクが爆発したのでは」と話し合っているとき、いきなりドカーン!と強烈な爆風にびっくり、とっさに兵舎の中に逃げ込む。 窓ガラスが粉々に吹き飛んだ。 暫く中で身を潜めていたが、その後何事もないので外へ出てみて驚いた。 広島の上空に、カキ氷にイチゴとオレンジを混ぜたような不気味な色をしたキノコの形をした雲がもくもくと盛り上がり、市全体が真っ黒い煙に覆われていた。 午前の訓練を終え昼食を済ませて休んでいたら、救援隊として似島への出動命令が下る。 第一陣